大澤信亮

批評家・日本映画大学教授

1万部突破&その他もろもろ

先日「ロスジェネ」の5刷が決まり、ついに1万部の大台を突破しました。創刊イベントの活字化も、各氏の承諾を頂けたのですでに作業進行中です。そして2号の準備も進んでいます。

発売中の「論座」で「ロスジェネ」の浅尾大輔さんが吉本隆明氏にインタビュー(というか対談)しています。冒頭から吉本氏が「共産党系の文学論」=浅尾さんの立場を執拗に批判し続けるという、緊張感のあるやりとりが続きますが、見所は、吉本氏が「前衛党」の論理を否定する場面で、浅尾さんが自分は前衛党の論理ではなく若者の労働運動のカオス性を伝えたいし、それに鍛えられているのだと言い返すところから、吉本氏の態度が変わっていくところです。それは氏に「俺もちょっと勘違いしているところあった」という内省を促し、ついには「(浅尾さんのような人によって共産党が変わるなら)選挙で共産党に投票しますよ」とまで言わしめる。見事という他ない。

しかし、何より大切なのはこんな論評ではなく、「自分なら出来るか?」という自問でしょう。褒めるにせよ批判するにせよ、何か・誰かについて論評するというのは安易なことです。今月は東浩紀さん、大澤真幸さんとの鼎談、湯浅誠さんとの対談が入っています。浅尾さんの健闘に僕も実行をもって応えたいと思います(ちなみにFF、ロスジェネ、労働問題関係以外の原稿依頼は現在お断りしております)。