大澤信亮

批評家・日本映画大学教授

思想家

nobody賞の副賞の100万円ですが、東北義援金として、日本赤十字社に全額寄付しました(信頼できる専門家に聞いたところ、現時点ではもっとも妥当な寄付先とのことです。新聞で報道された寄付先を翻すことになってしまい申し訳ありません)。大切な友人知人の親族がいるから、福島の原発の電力を使って生きてきたから、東北の豊かな海産物の恵みを享受してきたから、だけではありません。批評家として、未来の思想家のために、下らない呟きや自意識ではない具体的な実行をした人間がいたことを示さねばならないと思った。この危機を超えて僕が心の底から待ち望んだ本物の思想家が誕生することを願っています。僕自身は寄付や節電を含めたできる限りの実践、都市と地方その他の非対称的な社会的関係の再認識、人間にとって電気とは何かという問い、これらを関東で生きているという現実から内省的に進めるつもりです。問われているのは政府でも東電でもメディアでもなく「自分」なのだと思います。