大澤信亮

批評家・日本映画大学准教授

小林秀雄

本日7日発売の「新潮」4月号から連載「小林秀雄」を始めます(正式には6月発売の7月号より開始ですが、僕は初回のつもりで書きました)。

これまで連載や依頼という形式を避けてきたのは、締切に追われて作品が駄目になることを恐れていたからです。事実や論理の確認ミスもそうですが、最悪なのは、行くところまで行けずに時間切れになることでした。また、一本でも失敗原稿を書いてしまったら、新人はそれで終わりだと覚悟していました。

しかし、一冊目の本を刊行し、二冊目の本の刊行も決定した今、新しいことをやってみたくなったのです。いい加減そろそろ書くことの次元を上げたい。好きなだけ時間をかけて、納得できたものだけを発表するのではなく、失敗や停滞を呑み込みながら、書き手と読み手の時間を変えるようなものを。たとえば、月曜日にコンビニに走り「来週はどうなるんだろう」と待ち遠しい気持ちで何度も再読した、あの「ジャンプ」体験を目指したい。そんなことが果たして批評というジャンルで可能なのか。そもそも文芸誌で可能なのか。わかりません。

とにかく、連載をやる以上は「本になってから読めばいい」ではなく、毎回「新潮」を手に取ってもらえるよう、心と体を整えながら頑張ります。