大澤信亮

批評家・日本映画大学教授

今月の仕事

「新潮」11月号の「小林秀雄」第5回は中原中也について書きました。

中原については大岡昇平をはじめ、すでに相当語られてきたので、今回は「名辞以前」という言葉に中原が込めていたものと、詩・書簡・日記などでの小林との接点を書き残すことに集中しました。意外と小林の側から二人の関係を完全に整理したものはなく、次号の残りの部分も併せると、彼らの関係について現在残されている当事者資料の(ほとんど)すべてに言及したことになるはずです。このまとめ方自体が新しいとは言えるかもしれません。

なお今回初めて「この章つづく」で終わりました。執筆が追いつかなかったのではなく、むしろ規定の枚数を超過したため、入り切らなかったのでした。いちおう毎回一章完結のつもりで書いてきたのですが、都合よく規定枚数に収まってくれるものでもないし、必要な部分を切り捨てるわけにもいかないので、今後もあるかもしれません。