大澤信亮

批評家・日本映画大学准教授

近況

 今月発売の「新潮」9月号で「小林秀雄」第一部が完結します。

 5年ほど、ほぼ毎月連載を続けてきました。おそらく現時点で400字詰原稿用紙で2千枚を超えているはずです。こんなことになると思っていなかったので、自分自身が驚いています。しかし、今までのようには書かない、書き方そのものにおいて自分を先に進める、ということは連載開始時から決めていました。決めたというより、小林秀雄という存在に対峙するとは、そういうことなのだと。結果、今まで自分が大切にしてきたものをその都度捨てながら、何かがむき出しになってきた感じがします。読みやすい文体、劇的な構成、自分のことのように感じられる問い、そういったものは今の自分には本当のことに思えない。生きるとは批評することですが、批評文を書くことが批評ではない。大切なのは前者であり、その途方もなさを感じ続けること、その行為としての言葉の使用が、結果として作品となることがあればいい。そう思っています。

 連載は2019年のいずれかに再開する予定です。

 その間いくつかの文章も発表するつもりです。なかなか書き始めることが出来なかった犯罪論、「すばる」の連作の最後、角川財団が創刊する新雑誌での連載など。いずれも掲載がいつになるかわからないので、気に留めておいて頂けると幸いです。