大澤信亮

批評家・日本映画大学准教授

最近の仕事

本日発売の「新潮」8月号に「小説の究極 上田岳弘論」(80枚)という批評文を書きました。単独の現代作家論は、「ロスジェネ」最終号に書いた浅尾大輔論以来、9年ぶりになります。現代小説について書くことはもう二度とない、とくに、単独の作家論は浅尾論が最初で最後と思っていたので、自分でも驚いています。同時代の人間について書くためには、作品の優劣を超えた「宿命」のようなものが必要で、僕は上田さんにそれを感じたということです。少なくとも、僕は今後もう現代作家論を書くつもりはありません。これが最後のつもりで書きました。そして書く以上は、最高の、究極の作家論にしたいと思いました。難解な上田作品を理論的・歴史的に明晰に読み解き、かつ同時代のカルチャーや思想や事象と交差させつつ、現在において真に考えるべき問題を提示する。何より、この批評文それ自体が、小説に拮抗する「面白い」文章であること。それが実現されているか否かを読者に問いたいと心から願っています。ぜひ読んでみてください。

なおこの上田論は近々「Yahoo! JAPAN」のサイトにも無料で全文公開されます。

同時に掲載されている高橋一生さんと上田さんの対談も、有名俳優と芥川賞作家の販促コラボというありがちな企画ではまったくなく、とても真摯で重要な対話になっていると思いました。上田さんが今まで行ってきた対話のなかで一番いいと思います。

別件。この間「武蔵野樹林」という雑誌で「古層探偵」という連載を始めました。日本の古歌、ミシャクジ、縄文、中国古代文字、洞窟壁画、エジプト文明メソポタミア文明などの考察を通して、「人類の殺人」を探偵するという構想の批評です。それから、約束から8年近く経った「犯罪論」も、ようやく完成が見えてきました。「すばる」の連作批評も次回か次々回で終わる予定です。中断している「小林秀雄」の連載再開はまだしばらく先になると思います。当初は8月頃再開の予定でしたが。すみません。