大澤信亮

批評家・日本映画大学教授

1万部突破&その他もろもろ

先日「ロスジェネ」の5刷が決まり、ついに1万部の大台を突破しました。創刊イベントの活字化も、各氏の承諾を頂けたのですでに作業進行中です。そして2号の準備も進んでいます。

発売中の「論座」で「ロスジェネ」の浅尾大輔さんが吉本隆明氏にインタビュー(というか対談)しています。冒頭から吉本氏が「共産党系の文学論」=浅尾さんの立場を執拗に批判し続けるという、緊張感のあるやりとりが続きますが、見所は、吉本氏が「前衛党」の論理を否定する場面で、浅尾さんが自分は前衛党の論理ではなく若者の労働運動のカオス性を伝えたいし、それに鍛えられているのだと言い返すところから、吉本氏の態度が変わっていくところです。それは氏に「俺もちょっと勘違いしているところあった」という内省を促し、ついには「(浅尾さんのような人によって共産党が変わるなら)選挙で共産党に投票しますよ」とまで言わしめる。見事という他ない。

しかし、何より大切なのはこんな論評ではなく、「自分なら出来るか?」という自問でしょう。褒めるにせよ批判するにせよ、何か・誰かについて論評するというのは安易なことです。今月は東浩紀さん、大澤真幸さんとの鼎談、湯浅誠さんとの対談が入っています。浅尾さんの健闘に僕も実行をもって応えたいと思います(ちなみにFF、ロスジェネ、労働問題関係以外の原稿依頼は現在お断りしております)。

連続イベントを終えて

連続イベントを終えて、この1週間、頭を整理していました。いろいろ考えさせられたこともあるのですが、まずは何らかのかたちで議論を活字化する必要を感じます(まだ参加者各氏の了承を取っていないので個人的な感想と考えてください)。おそらく秋葉原の事件もこの連続イベントも想像以上に風化が早いのではないか。でも、活字にして残しておけば、読む人はいつか読む。実際、FF1号も未だに売れ続けています。
それと定期的に色々な人と交流する場を持つことの必要も感じました。講演というよりは意見の交換会みたいな空間で、みんなが自由に発言していくなかで議論のアリーナを広げていく、ステージを上げていくことが出来る気がします。この辺は平井玄さんたちの「地下大学」に教えられました。

そして言うまでもなく、それぞれが個別に大きな仕事をやることが大切です。

なお、イベント中のドサクサで、連絡を頂いた方にお返事するのを忘れている可能性があります。意図的に連絡しないケースは在り得ませんので、何かありましたらお手数ですが再度ご連絡ください。

イベント告知

「言論空間に臨む新雑誌」(6月27日 新宿紀伊国屋サザンシアター)女性が苦手ならまず風俗

出演 第1部 雨宮処凛×浅尾大輔×増山麗奈 第2部 赤木智弘×東浩紀×萱野稔人×杉田俊介×大澤信亮

「地下大学東京─秋葉原で起きたこと」(7月1日 明治大学http://www.counterg8forum.org/chikadaigaku.html
出演 鎌田慧×平井玄×樫村愛子×大澤信亮

「われわれサヨクの存在証明」(7月5日 池袋ジュンク堂女性が苦手ならまず風俗
出演 浅尾大輔×萱野稔人×増山麗奈×大澤信亮

こうして御名前を並べると、この数年で人との関係が飛躍的に広がったことを感じます。それは状況が強いるものなのだと思います。そして「新潮」に掲載する受賞第一作も最終段階に入っています。

近況

ついに「ロスジェネ」4刷りで累計9000部になりました。

編集長・浅尾大輔さんのテレビ出演が下記のサイトで見られます。
たかじんのそこまで言って委員会 動画特集 - FC2 BLOG パスワード認証
テレビは「編集された映像である」という前提で見る必要があると思います。それによる良い部分、悪い部分、印象が変わる部分、変わらずに伝わる部分などを複合的に見るリテラシーが必要だなと。いずれにせよ、パネラーの挑発に乗らず、一人で堂々と渡り合った浅尾さんは見事だと思います。

釜ヶ崎で数日前から暴動が続いています。
http://www1.odn.ne.jp/~cex38710/thesedays13.htm
メディアはほとんど報道していないようです。

ロスジェネ創刊記念イベント×2!

超豪華メンバーを堪能するなら↓

「言論空間に臨む新雑誌」(6月27日 新宿紀伊国屋サザンシアター)女性が苦手ならまず風俗

超ディープ「ロスジェネ」を味わうなら↓
「われわれサヨクの存在証明」(7月5日 池袋ジュンク堂女性が苦手ならまず風俗

そして一緒に戦おうと思ってくれたみなさんはぜひ両方へ! とくに、ジュンク堂トーク後の打ち上げで、たくさん話しましょう。紀伊国屋イベントはサイン会もあるので、好きな著者の方がいれば、その方目当てにぜひ!

紀伊国屋新宿本店超ヤバい

すごいことになってます。これヤバいよ。

1階レジ

2階雑誌コーナー

3階エレベーター前

3階新刊コーナー

 まさに紀伊国屋事変。まさにロスジェネ騒動。書店さんの「本気で売りたい」という気持ちがヒシヒシと伝わってきます。新聞で取り上げられたなどの話題性だけではありません。見本をちゃんと読んでもらっての御判断です。紀伊国屋と言えば日本の書店の大御所。その総本山で日々、無数の書籍に触れてきた店員さんがなぜ、並み居る大手雑誌・著名作家の本を差し置いて「ロスジェネ」を売ろうとしてくれているのか? ぜひ自分の目で確かめてください。

 あと模索舎http://www.mosakusha.com/さんでも発売しています。こちらもいつもお世話になっている、僕たちが活動をしていく上で欠かせない書店さんです。

「ロスジェネ」&『フリーター論争2.0』

下記で紹介した「ロスジェネ」『フリーター論争2.0』の表紙です(サイズの調整が出来ず巨大に……)。前者は発売が5月下旬。後者は5月中旬(ただし「自由と生存のメーデー」当日に限定30部、定価から100円引きの1500円で特別先行販売します。ブースなどはないので気軽に声かけてください)。ちなみにモデルの「なみ平」さんのページはこちら。キラキラ系ミュージシャンで、桃色ゲリラの名づけ親でもあります。


もろもろ報告

3月31日付で退職しました。契約期間満期終了ということで。今月から大妻女子大学短期大学部で非常勤講師やります。

作家の浅尾大輔さん、マンガ評論家の紙屋高雪さん、画家の増山麗奈さんと、5月に超左翼マガジン「ロスジェネ」というヤバい雑誌を出します(タイトル自体もヤバい)。詳細は後ほど。ちなみに僕は「左翼のどこが間違っているのか?」という400字詰70枚弱の「小説」を書きました。小説を書くのは「重力」以来ですが、自分は最終的には小説なんだなと再認識できました。

5月にはFFのトーク集『フリーター論争2.0』(人文書院)も出ます。FFの創刊イベント2つ+本のために設けた座談会3つという構成。かなり濃い。これ読まないで迂闊なこと言うと恥かくよって内容。お楽しみに。

発売中の「論座」5月号で東浩紀氏、佐々木敦氏と話しています。現在、原稿の依頼はお断りしていますが、FF関係は協同事業なので別(あと「ロスジェネ」も以前からの企画だったので別)。議論すべきことはまだあると思いますが、何より、お二人が「呼ばれるのを待つ」タイプではなく、自分で活動の場を創出するタイプの物書きであること、さらに、僕のような(一見)別文脈で活動する年下の人間とも快く対話に応じてくれたことから、何かを学びたいと思います。

ギャグまんがの作法

朝日カルチャーセンター新宿教室で下記の講座の聞き手役をつとめます。

創作の現場からみるまんが論 ギャグまんがの作法 11011141 
講師:まんが家 みなもと太郎
評論家 大澤信亮 
講座の内容:同人誌から評論まで幅広く活躍し、今年画業40周年を迎えたみなもと氏。戦後ギャグまんがの歴史や表現の変遷をひもときながら、大澤氏が聞き手となって創作の裏側に迫ります。
期間・曜日・時間:12/7 金 19:00〜20:30
受講料(税込み):1回 会員 3,360円 一般 3,990円 ACC学生会員 1,500円

詳しくはコチラhttp://www.acc-web.co.jp/sinjyuku/0801koza/A0102.html#=まで。
以前お伝えしたときは、みなもと太郎氏と大塚英志氏の対談の司会という役回りでしたが、大塚氏の体調が優れないため、このようなかたちとなりました。足をお運びくだされば幸いです。

連続イベントラスト

先日の城さん、雨宮さんとの座談会は、きわめて有意義なものとなりました。フリーターと正社員はいかに対立し、いかに共闘可能かを忌憚なく討議しました。フリーター問題を次の局面に進める上で、必読のテキストになっていると自負します。

そしていよいよ創刊連続イベントの最終回です。

FF創刊イベント第五弾のお知らせ - Freeter’s Free Memorandum

予定しているテーマは、協同事業と資本制、出版・流通の問題、読者の問題、02の構想、等々。01の時点で追求できなかった問題、さらに刊行後に見えてきた無数の問題を俎上に乗せることで、いま必要な闘争のかたちを議論します。

そして何よりこのイベントは生田武志さんが参加します。生田さんは関西在住でなかなか関東に来る機会がないので、この機会にぜひお会いしてください。

イベント中止のお知らせ

すでにFFのブログでは告知済みですが、下記のイベントが中止になりました。

7月22日のイベント中止のおしらせ - Freeter’s Free Memorandum

ただ、告知文にもあるように、同日、城さん、雨宮さんとの座談会を設けることになっており、その内容は何らかのかたちで活字化する予定です。どうぞお楽しみに。

FF創刊イベント第4弾

■[FF]イベント第4弾のお知らせ――若者はなぜ『生きさせろ!』と叫ぶのか? 多様な生の肯定に向けて
 7月22日:『フリーターズフリーVol.1』刊行記念・雨宮処凛さん、城繁幸さん、杉田俊介さん、大澤信亮さんトークショー

 「若者はなぜ『生きさせろ!』と叫ぶのか?――多様な生の肯定に向けて」

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フリーターズフリー(vol.01)

ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 社会 > 労働
ショップ: 楽天ブックス
価格: 1,575円

 【日時】平成19年7月22日(日)14:00〜

 【場所】三省堂書店神保町本店(現神田本店)8階特設会場

 【参加方法】対象書籍をお買い上げのお客様先着70名様に、4Fレジにて整理券を差し上げます。

 【お問合せ】三省堂書店神保町本店4階(現神田本店:7月1日より名称変更)

  /03-3233-3312(10:00〜20:00)

FF創刊イベント第3弾

FF創刊イベント第3弾のご案内です。

FF創刊イベント第三弾のお知らせ(栗田) - Freeter’s Free Memorandum

フリーターは野宿者化する。というかすでにネットカフェなどで難民化している。ではフリーターと野宿者は共闘できるのか? その「共闘」にはもちろん、社会に対して共に権利を訴えることも含みますが、もう少し広い視点からとらえることも可能だと思います。たとえば、ある野宿者の人は、「一晩1500円でネットカフェに泊まるなら小屋に来りゃタダなのに」と言っていました。「小屋で暮らそう」と無理強いするのではなく、お金がないときに泊まれる避難場所として小屋があることを知ってほしい、それを撤去されないように出来る範囲で協力してほしい、と。

そんなわけで、シンポジウムというよりは交流会という感じで、みんなでいろいろ話し合ったり、野宿生活のフィールドワークをしたり、宴を開いたりします。もともと僕は、イベントに参加してパネラーの話を黙って座って聞くのが苦手だったので、「そういうのじゃないイベントをやりたいね」と組合員同士で話していたのです。

ちなみに、「支援活動に加われ」とか「問題意識が低い」とか言われるかもしれない、と心配な方はご安心を。野宿者問題とフリーター問題の関連に関心を持ってくれるだけで嬉しく、妙な無理強いをすることは絶対にありません。